2018年4月19日
株式会社神戸製鋼所
ファナック株式会社
デュエルビッツカジノ ログイン(以下、神戸製鋼)と、ロボット・FA装置大手のファナック(株)(以下、ファナック)は、従来、接合が困難であった超ハイテン鋼板とアルミなどの異種金属や超ハイテン鋼板同士の接合方法について、従来法と比較し最高強度で接合可能なロボットシステムの試作モデルを共同開発しました。今後、自動車メーカーへの提案を進め実用化を目指します。
尚、本試作システムは、4月25日(水)~28日(土)に東京ビッグサイトで開催される「2018国際ウエルディングショー」に出品し、ファナックの展示ブースにて実演を行う予定です。
近年、世界的な燃費規制及び衝突安全規制の高まりを受け、車体軽量化を目的に従来の鋼材だけなく、様々な素材を適材適所で組み合わせて使う「マルチマテリアル化」の流れが強まっています。しかし、異なる金属の溶接は溶接時に発生する金属間化合物や腐食の観点から容易ではなく、これまでは主に溶接法の代わりにネジやかしめの仕組みを使った機械的接合法が一般的でした。また、これまでも異材接合方法はあるものの、超ハイテン鋼板とアルミの組合せに対しては、その鋼材の強度に耐え、かつ扱い易い接合法がありませんでした。
このような中、神戸製鋼は昨年、アーク溶接とエレメントと呼ばれるリベットを用いて、超ハイテン鋼板とアルミを接合できる異種金属接合法「エレメントアークスポット溶接法(=EASW)※1」を考案していました。更に、自動車産業への適用においてはロボットシステム化が必要不可欠であり、この度、ファナックの持つロボット、エンジニアリング、センサー技術を活用し、この溶接法の自動化に目処を付けました。具体的には、画像センサーによる接合箇所の位置検出、ロボットの正確な移動、加圧、エレメントの送給と嵌合、アーク溶接といった一連の動作を高速かつ自動で行います。本方式のメリットは主に以下4点です。
今後、本格採用を目指し、自動車メーカーへの提案を進めて参ります。
※1:EASWの概要
複数の穴を予め空けたアルミ板と、穴無しの鋼板を重ね合わせ、中空形状のリベット状消耗材(=エレメント)をアルミ穴に挿入した後、極短時間のアーク溶接で穴内に液体の溶接金属を注入する接合法。エレメントと鋼板が溶接され、アルミ板をこれらの間に強固に挟みこむことで接合される。
人手を介さず、本手段をロボットによる自動溶接化するためには、①穴の正確な位置検出技術、②ロボットアームの正確な移動、③穴に対し直径差がほとんど無いエレメントを正確に挿入する精密嵌合技術、④微量な溶接金属を確実に注入するためのアーク溶接のスタート&エンド処理、などの高いセンサーおよび制御技術が必要不可欠であり、かつこれら一連動作を高速で処理できることが求められる。
十字引張試験(上下方向)では、従来方法と比較し高い接合強度を実現。また、せん断引張試験(左右方向)でも最高クラスの強度を実現。
一般的に接合が難しくなるとされる1,000MPa級以上の超ハイテン鋼板を継手の一部、あるいは全てに使用しても欠陥を発生することなく接合が可能。
自動車用として一般的な5000系、6000系薄板だけでなく、高強度な7000系押出し材にも適用可能。更に、板厚が比較的厚くなるダイキャスト材(鋳造材)にも適用可能。
対象部材を両側から挟むことが必要な抵抗スポット溶接法や多くの機械的異材接合法とは異なり、片側から溶接が可能なため、ツールで挟むことが出来ない閉断面構造部材や大面積部材へも対応可能。適用部材範囲が拡大する。
超ハイテン鋼板とアルミ継手 | 超ハイテン鋼板同士 | 接合強度が高い (せん断&剥離) | 片側アクセス可能 | 重さ | ランニングコスト | 機構的信頼性 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Al /Steel |
Steel /Al |
|||||||
EASW | ○ | × | ○ | ○ | ○ | △ | △ | ○ |
SPR | × | × | × | △ | × | △ | △ | ○ |
FDS | × | ○ | × | △ | ○ | × | × | ○ |
FSW | ○ | × | × | × | × | ○ | ○ | × |
ろう付け | ○ | ○ | × | × | ○ | △ | ○ | × |
(写真)
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