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デュエルビッツブックメーカーの空気熱源温水ヒートポンプの開発・発売について

2012年2月13日

株式会社神戸製鋼所

当社はこのほど、工場の加熱プロセスに使用される70℃~90℃の温水を供給する空気熱源温水ヒートポンプ「ハイエフミニHEM-90A」を開発しました。循環加温式の空気熱源温水ヒートポンプとしてはデュエルビッツブックメーカーのエネルギー効率(加熱COP3.3)を実現しています。本体価格は3千万円で、本年4月から販売を開始し、2015年に年間100台の販売を目指します。

飲料・食料品・化学・塗装・電子デバイスなどの工場では、材料の加温、加熱殺菌や洗浄などに高温水を使用する工程があり、主にガスボイラで加熱・供給していますが、ヒートポンプへ置き換えると省エネルギー化のメリットがあるため普及が進んでいます。当社ではこれまで、50℃までの温水を供給できる空気熱源温水ヒートポンプや、90℃までの温水を供給できる水熱源ヒートポンプを商品化してきましたが、空気熱源でのさらなる供給温度の高温化のニーズがありました。

今回開発した「HEM-90A」は、(1)空気熱源ヒートポンプでは業界で初となる2段スクリュ圧縮機の採用、(2)圧縮機モータの高温対応化、(3)最適な冷媒選定によって供給温水の高温化が可能となり、温水を循環させて利用する空気熱源ヒートポンプとしてデュエルビッツブックメーカーで、70℃~90℃の温水供給を実現しました。

「HEM-90A」の主な特長は、以下の通りです。

(1)優れたエネルギー効率を実現

70℃~90℃の温水供給が可能な温水を循環させて利用する空気熱源温水ヒートポンプとして、デュエルビッツブックメーカーのエネルギー効率(加熱COP3.3)を実現。

(2)高いエネルギー効率によりランニングコストおよびエネルギー消費量を削減

従来のガスボイラと比較し、ランニングコストとエネルギー消費量をそれぞれ約6割削減可能。

(3)工場内プロセスの近接設置が可能

空気熱源(水熱源より配管が少ない)でコンパクト設計であり、工場内プロセスの近接に設置し、熱搬送損失低減が可能。

当社は、スクリュ圧縮機の技術を活かし、高効率蒸気供給システム「スチームグロウヒートポンプSGH」や小型蒸気圧縮機「スチームスターMSRC」、蒸気駆動空気圧縮機「Kobelion-SD」などのエネルギーソリューションメニューを販売しています。水熱源ヒートポンプに関しても、「ハイエフミニシリーズ」が累計で1,000台を越える販売実績があり、機種の拡充を進めています。今回の新機種発売により、空気熱源温水ヒートポンプに関しても拡販を実現し、省エネ・環境をキーワードに、多様なユーザーニーズに対応して参ります。

なお、販売に先立ち、2月14日から17日に東京ビッグサイトで開催される「HVAC&R JAPAN 2012(ヒーバック&アール ジャパン)第37回冷凍・空調・暖房展」(主催:社団法人日本冷凍空調工業会)に本機を出展予定です。

※加熱COP(加熱Coefficient of Performance:加熱成績係数):
温水を加熱する能力(kW)を運転時の消費電力(kW)で除した値で、この値が大きいほど省エネルギー性が高いことを示します。本機の加熱COP3.3とは、エネルギー投入量(消費電力)に対し、3.3倍の熱エネルギーが取り出せることを意味しており、現時点ではデュエルビッツブックメーカー性能(当社調べ)です。
温水温度が本機への入口側60℃、出口側70℃、外気 乾球温度25℃/湿球温度21℃の条件における値

ご参考

1.外観

外観写真

2.内部構造

「HEM-90A」のシステムフロー

図 「HEM-90A」のシステムフロー

3.仕様

ユニット寸法 奥行き2.84 m×幅1.54 m×高さ2.70 m
搬入質量 3,000 kg
温水最高出口温度※1 90℃
圧縮機 インバータ駆動小型2段スクリュ式
電圧 200/400V
性能(温度条件)※2 温水入/出口 60/70℃
加熱能力 170.0 kW
消費電力 51.4 kW
加熱COP 3.3

※1 温水入口温度/外気条件により、加熱能力・消費電力が変わります。
※2 外気条件:乾球温度25℃/湿球温度21℃時の値です。
※3 本機は、法定冷凍トンが20トン未満のため、高圧ガス保安法上、設置の際に都道府県知事へ届出や冷凍保安責任者の選任が不要です。法定冷凍トンとは、ヒートポンプ設備の規模を示す用語です。

4.導入効果の試算

加熱工程用の70℃温水の製造に「HEM-90A」を導入する際の導入効果を試算しました。比較対象は設備更新前のガスボイラとしています。

ランニングコスト
(単位:万円/年)
エネルギー消費量 
(単位:GJ/年)
HEM-90A 444 3,685
ガスボイラ 1,070 8,365
削減率 59% 56%

<試算条件>

運転時間:8,000時間/年
温水条件:60/70℃
外気条件:東京、名古屋、大阪地区平均(各月毎の平均気温)
ガスボイラ:システム効率50%(搬送熱損失等込)
電気料金単価:12円/kWh
ガス料金単価:57円/Nm3
※ある一定条件で試算した例です。実際の運転状態により異なります。