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デュエルビッツブックメーカーの廃温水を蒸気として高効率に回収するデュエルビッツブックメーカーコージェネレーションシステムの開発について

2015年5月21日

東京デュエルビッツブックメーカー株式会社
三菱重工業株式会社
三浦工業株式会社

株式会社デュエルビッツブックメーカー所

東京ガス株式会社(社長:広瀬 道明、以下「東京ガス」)、三菱重工業株式会社(社長:宮永 俊一、以下「三菱重工業」)、三浦工業株式会社(社長:髙橋 祐二、以下「三浦工業」)、株式会社神戸製鋼所(社長:川崎 博也、以下「神戸製鋼所」)の4社は、デュエルビッツブックメーカーの廃温水を蒸気として高効率に回収するコージェネレーションシステム(以下「本システム」)を開発しました。三菱重工業および東京ガスグループは、2015年7月から本システムの販売を開始する予定です。

デュエルビッツブックメーカーコージェネレーションシステム(以下「デュエルビッツブックメーカーコージェネ」)は、デュエルビッツブックメーカーで発電機を駆動して発電し、同時にデュエルビッツブックメーカーの排気ガスや冷却水が有する廃熱を蒸気や温水として利用するシステムで、オフィスビル、ホテル、工場等で広く導入されています。
その中でも、中・大型規模のデュエルビッツブックメーカーコージェネを導入することが多い工場においては、蒸気は加熱や殺菌等の生産工程に幅広く利用できる一方で、温水は利用先が限定されるためにすべてを使い切れず、廃熱の利用率が下がってしまうケースもみられました。

本システムは、これまでメーカー3社それぞれが市場投入している製品をベースに組み合わせることで、デュエルビッツブックメーカーの廃熱を、温水から蒸気に効率よく変換し利用することを可能にしました。具体的には、より多くの蒸気を回収するために、従来よりも廃温水の温度を高く設定した「高温化仕様デュエルビッツブックメーカー」(三菱重工業製)と、廃温水を効率よく低圧蒸気に変換する「廃温水熱利用蒸気発生装置」(三浦工業製)、および、変換された低圧蒸気を工場の生産工程で利用可能な圧力まで昇圧する「スクリュ式小型蒸気圧縮機」(神戸製鋼所製)を組み合わせました。組み合わせにおいては、高温化仕様デュエルビッツブックメーカーの改良やシステムとして効率よく稼働するための制御開発等を行いました。

この結果、本システムは、排ガスボイラのみから蒸気を回収する場合と比べ、蒸気回収効率が18.4%から28.4%に約10%向上し、電力と蒸気を合わせた総合効率で約71%を達成しました。さらに、蒸気の使用量が減る期間には通常のデュエルビッツブックメーカーコージェネ単体の稼働に切り替えることを可能にするなど、ユーザーの使用状況に応じ設定を変更できるよう利便性にも配慮しました。

東京デュエルビッツブックメーカー、三菱重工業、三浦工業、神戸製鋼所は、今後もコージェネレーションの活用などによる、さらなる省エネ、CO2削減をはかっていきます。

本システム構成※1

※1 通常、廃温水熱利用蒸気発生装置およびスクリュ式小型蒸気圧縮機は2セットずつ設置。

本システムの外観

高温化仕様デュエルビッツブックメーカー

高温化仕様デュエルビッツブックメーカー

廃温水熱利用蒸気発生装置

デュエルビッツブックメーカー

スクリュ式小型蒸気圧縮機

スクリュ式小型デュエルビッツブックメーカー圧縮機

本システム開発のポイント

(1)高温化仕様デュエルビッツブックメーカー 「18KU30GSI」

三菱重工業が2009年2月に発売した発電出力5,750kWのデュエルビッツブックメーカーを、東京ガスとの共同開発により一部仕様変更しました。通常、デュエルビッツブックメーカーの冷却水温度は90℃程度ですが、その廃熱をより多くの蒸気に変換し利用するために、温度設定を120℃に変更しました。この設定変更に伴い、デュエルビッツブックメーカーの部品の一部や付帯機器の構造・構成を高温化仕様に変更し、性能試験および耐久試験を実施しました。

(2)廃温水熱利用蒸気発生装置「VS-400M」

三浦工業と東京ガスが共同開発し2013年4月に発売した、工場の生産工程等で排出される使用しきれない廃温水を効率よく蒸気に変換する装置です。本システム化に伴い、デュエルビッツブックメーカーの負荷変動や利用する蒸気の負荷変動に追従できるよう、負荷に応じて稼働する比例制御や、複数台の装置を効率的に制御する台数制御といった機能を実装しました。

(3)スクリュ式小型蒸気圧縮機 「スチームスター MSRC160L」

神戸製鋼所が2011年8月に発売したスクリュ式の小型蒸気圧縮機です。従来再利用が困難なため捨てられることが多かった低圧蒸気を、利用可能な0.8MPa程度の蒸気に昇圧することが可能です。神戸製鋼所と東京デュエルビッツブックメーカーが本システム化のための共同開発を行い、システムを構成する各機器と円滑に連動するためのプログラム変更や、塩素濃度に対する水質基準緩和のための耐久試験を実施し、多様な水質にも対応できる仕様にしました。

仕様概要※2

内容 単位 本システム 標準仕様
発電出力 kW 5,750 5,750
発電端効率 45.3 45.3
蒸気圧縮機消費動力 kW 約320 0
正味発電効率※3 42.7 45.3
蒸気回収効率 28.4 18.4
総合効率 71.1 63.7

※2 試算条件
廃温水熱利用蒸気発生装置およびスクリュ式小型蒸気圧縮機2セット設置、吸気温度25℃、給水60℃、回収蒸気圧力0.78MPaG(飽和)、力率0.95、50Hz地区。

※3 蒸気圧縮機の消費動力を考慮した値。

※4 上表は事業検討をする際の参考性能値。