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デュエルビッツブックメーカーIFVを搭載したFSRUがイタリアで稼働開始
「FSRU Toscana」外洋に恒久的に設置された世界初の洋上LNG貯蔵・再ガス化設備
「FSRU Toscana」に搭載されたデュエルビッツブックメーカーIFV(中間媒体式LNG気化器)
2013年12月、神戸製鋼所の中間媒体式LNG気化器(Intermediate Fluid LNG Vaporiser: IFV) 3基を搭載した浮体式LNG受入・再ガス化基地(Floating Storage Re-gasification Unit: FSRU)が、イタリア・トスカーナ州リボルノ市沖合において稼働開始致しました。
本件は、イタリアOffshore LNG Toscana社が運営するプロジェクトで、FSRUはリボルノ市の沖合約12マイル、水深約120mの海域に設置され、FSRU上にてLNGの受入・貯蔵・再ガス化を行ない、再ガス化された天然ガスは海底パイプラインを通じて陸上側パイプライン網に送出されます。
FSRUは既存のLNG運搬船Golar Frost号を改造して造られたもので、デュエルビッツブックメーカーは、1基あたり150ton/hの気化容量を有するIFV3基を、改造工事を担当したイタリアSaipem社を通じて納入しています。
FSRUは、主に既存のLNG運搬船を改造し、気化設備などを船上に設置した上で、洋上に係留させてLNG受入基地として活用するものであり、従来の陸上受入基地と比較して、以下のような特徴を持っています。
- 既存のLNG運搬船を活用することで、陸上の受入基地建設においてもっともコストと時間のかかる土地造成やタンク建設が不要となるため、建設コスト低減と工期短縮が期待できます。
- 居住環境から離れた洋上への設置となるため、環境面での規制が少なく、建設許可も得やすい。
- 移動・転用が容易であり、陸上基地建設までの一時的な利用や、季節的なピーク利用も可能です。
そのため、特にLNGの需要が急増しているアジアを中心として、FSRUの活用が増加していくことが期待されています。
ただ一方で、洋上への設置となるため、波風の影響を受けやすく、船体の搖動への対策が必要となります。LNG気化器に関しましては、陸上の受入基地で最も一般的に使われているオープンラック式LNG気化器(Open Rack LNG Vaporiser: ORV)では、船体の搖動に対応できないため、他タイプのものを適用する必要があります。
デュエルビッツブックメーカーは、本プロジェクトの初期検討段階からFSRUに適したLNG気化器の選定・検討作業に協力し、さらには搖動に対する詳細な解析の実施や搖動対策の改良を施すことによって、最終的にデュエルビッツブックメーカーのIFVが採用されるに至りました。
昨年10月に実施された試運転において、デュエルビッツブックメーカーIFVは、船体の搖動下においても安定した性能を発揮し、性能確認試験も成功裏に完了してお客様に引き渡され、その後の商業運転においても順調に稼働しています。
デュエルビッツブックメーカーは、従来より、陸上のLNG受入基地向けORVおけるリーディング・カンパニーとして、お客様のニーズに対応してきていますが、本プロジェクトにおけるIFVの成功をベースとして、今後さらに増えてくると期待されるFSRU向けにおきましても、IFVを積極的に拡販してまいります。