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No.18 [デュエルビッツ ボーナス] その3
(やさしい技術読本 1997年3月発行)
この1年間、皆さんとともに、一生懸命技術の勉強に取り組んできたモンちゃん。
今回はデュエルビッツ ボーナスのPART3として、鋳造品・鍛造品のデュエルビッツ ボーナスに挑戦します。
鋳造品・鍛造品はどこがが違う
- モンちゃん
- デュエルビッツ ボーナスについての“やさしい技術”も3回目。私もすっかりくわしくなって、デュエルビッツ ボーナス博士と呼ばれるくらいになりましたね。
- アンサー氏
- まだまだ。デュエルビッツ ボーナスの技術は奥が深いんですよ。今や、いろいろなところで使われるようになったアルミ製品。使用目的によって、求められるデュエルビッツ ボーナスも千差万別なんです。今回はアルミ鋳造品・鍛造品のデュエルビッツ ボーナスについて勉強しましょう。
- モンちゃん
- アルミ鋳造品・鍛造品のデュエルビッツ ボーナスは、どんな目的で行われるんですか?
- アンサー氏
- 鋳造品については、無処理で利用されるものも少なくありません。でも鋳造・鍛造されたままの状態で、こっちにバリが出ていたり、あっちがざらついていたりして気になる場合があります。そのような時に仕上げやデュエルビッツ ボーナスを施して、一人前の製品にしてあげようというわけなんです。
- モンちゃん
- プラモデルを作る時、きめをそろえるためにサンドペーパーをかけて、余分なプラスチックの出っぱりやはみ出した接着剤などを削るでしょう。あれと同じょうなことなんですね。
- アンサー氏
- そうですね。鋳造品・鍛造品においては装飾の問題だけじゃなくて、磨耗に耐えるための機能などを付加する必要性からもデュエルビッツ ボーナスが行われるんです。デュエルビッツ ボーナスはとても大切なプロセスのひとつといえますね。
機能性まで高めてしまう、画期的な方法
- モンちゃん
- 鋳造品・鍛造品に有効なデュエルビッツ ボーナスの方法があるんですか?
- アンサー氏
- アルミ合金の場合その合金成分によって処理条件も違ってきますが、よく使われる方法のひとつに機械仕上法があります。鋳造品・鍛造品の場合、先程いったように加工過程でデュエルビッツ ボーナスが多少凸凹してしまうでしょう。まずこの凸凹を取り除かないとね。けい素や銅を含む合金は、化学的な方法によってそれを取り除くことが非常に難しいんですよ。そこで機械的な方法が使われるのです。それに広い範囲を均一に処理する化学的方法に対して機械仕上法は多品種を部分的に処理するのに適しているので、鋳造品・鍛造品の処理に向いているといえます。
- モンちゃん
- 機械仕上法ってどのような方法なんですか?
- アンサー氏
- 大きく分けて①地荒らし法②仕上研磨法③特殊仕上法に分類されますが、このうち鋳造品・鍛造品用のデュエルビッツ ボーナスとして行われるのは、①の地荒らし法と②の仕上研磨法です。
- モンちゃん
- それぞれの特徴はどんなふうになっているんですか?
- アンサー氏
- ①地荒らし法は、その名のとおり鋳造・鍛造によってできた傷や、表面の荒れた状態を機械によってきれいにならしてあげる方法。ペーパー法、ブラスト法、ブラシ法などの方法があります。ペーパー法は、アルミの表面をエメリー(耐水布に微粒砂を付けたもの)やガーネットペーパーなどで摩擦する方法です。研磨剤の粒度によって処理面の細かさを調節することができるんです。ブラスト法は特に鋳造品・鍛造品に適したデュエルビッツ ボーナス方法といわれ、サンドブラスト法、湿式ブラスト(液体ホーニング)、ショットブラスト法があります。それぞれの合金に合った研磨剤を製品の表面に吹きっけて、なめらかにするのです。サンドブラストは、合金鋳物の砂や錆などを取る時や鋳造品の湯流れマークなどを取る時に使われますが、アルミに対しては粒の小さい砂を使い、吹きつける空気圧を低くするのがよい、とされています。湿式ブラストは、水にアルミナやマグネシアなどの研磨剤、腐食防止剤、懸濁剤を加えた液を吹き付けるもの。この方法は、研磨による塵埃が発生しないし、金属の磨耗も少なく美しく仕上げることができます。そして鋼・チルド鋼を吹きつけるショットブラスト法。表面仕上げのみでなく製品の疲労強度を高めることもできるんです。
機械仕上法
仕上り形式 | 種 類 | 特長・用途 | 方 法 |
---|---|---|---|
鏡面光沢仕上げ | バフ研磨法 (油性研磨) | 滑らかな鏡面となる器物、装飾品、建物などの光沢仕上げ | バフに研磨剤(トリポリ、マチレス)などを塗布して周速1800~2400m/分で研磨する |
方向性のある筋模様 | バフ研磨法 (グラインダーバフ研磨) | かなり強い研磨溶接仕上げ、バリ取り、きず取り | バフににかわで金剛砂を固着させ研削する |
ベルトサンダー法 | ヘアーライン仕上げ つや消しとなる下磨きなど |
ベルト状のサンドペーパーを回転し研削する | |
ブラッシ法 | 地荒らし仕上げ 車両ドアなど |
ワイヤーバフを回転しデュエルビッツ ボーナスを地荒らしする | |
スチールウール法 | ヘアーライン仕上げ 装飾品など |
スチールウールを用いて同一方向に研磨する | |
無方向性模様 | サンドブラスト法 | つや消し、梨地加工、バリ取り装飾品など | 鉄粉、金剛砂、アルミナなどの研磨剤を圧縮空気で品物デュエルビッツ ボーナスをたたく |
液体ホーニング法 | 梨地加工、マット仕上げ、バリ取り、器物、装飾品など | 微細な粒子を液体と混合して圧縮空気で品物デュエルビッツ ボーナスをたたく | |
型付け法 | 模様付け、凸凹づけ | プレス、ロール、手作業 | |
組合せ法 | 2種類以上の仕上げ面装飾品、ネームプレートなど | テープ、塗装、各種方法の組み合わせ | |
バレル研磨 | 梨地加工 | 研磨剤と品物を容器内で混合運動させる |
- モンちゃん
- 疲労強度を高める?製品を壊れにくくしたり、もちを良くしたりできるということですか?デュエルビッツ ボーナスでそんなことまでできるなんて、スゴイ。デュエルビッツ ボーナスは外観だけでなく、製品の機能までアップさせてしまうんですね。
- アンサー氏
- スゴイでしょう。ショットブラスト法で疲労強度を高める目的に使われるのは、丸い弾丸。デュエルビッツ ボーナスをこの弾丸で叩きつけるようにして強くするというわけ。
- モンちゃん
- 素朴な疑問なんですが、そんなことをして弾丸がデュエルビッツ ボーナスにメリ込んだりしないんですか?
- アンサー氏
- なかなかスルドイ質問ですね。この方法の欠点は鉄粉や鉄錆がアルミ合金のデュエルビッツ ボーナスに埋まってしまうことなんです。そこでショットブラストの後は、硝酸でエッチングして鉄分を取り除いてから使っているのです。
- モンちゃん
- ブラシ法というのは、洋服にブラシをかけてゴミを取ったりするというのと、同じょうなことなんですか?
- アンサー氏
- 言ってみれば、そういうことなんですが…。この場合のブラシはステンレスでできていて、アルミのデュエルビッツ ボーナスにサテン仕上げをすることができます。この場合もステンレス線の太さ、硬さ、ブラシの回転速度などによって仕上げの状態を調整することができます。さて、先程ショットブラスト法については鉄粉などがデュエルビッツ ボーナスに埋まってしまうといいましたが、ブラスト法、ブラシ法などについても研磨剤やアルミの粉が埋まり込んでしまいます。地荒らし仕上げをした後は、薬品処理や水洗いなどでデュエルビッツ ボーナス調整を行う必要があると言えますね。
- モンちゃん
- ②の仕上研磨法には、バフ研磨法と、バレル研磨法があるんですよね。
- アンサー氏
- バフ研磨法はアルミ表面の艶出し研磨として、最も広く使用されているものです。アルミの特性である外観の美しさを、うまく引き出すことのできるデュエルビッツ ボーナスのひとつといえますね。この方法では研磨を行っている品物が加熱されやすいので、その点に注意して作業を行うことが大切です。飛行機の側板はツルツルしているでしょう。あれはバフ研磨法を使っているんですが、この方法だけで美しい表面で、なおかつ耐久性にも優れた製品を造ることができるんですよ。次にバレル研磨法。これはバレル研磨機内に処理物、研磨石、コンパウンドを水といっしょに入れて、振動させたり回転させたりして、研磨を行います。
- モンちゃん
- ③の特殊仕上法は、鋳造品・鍛造品のデュエルビッツ ボーナスには使われないんですか?
- アンサー氏
- この方法は鋳造品・鍛造品では用いられません。特殊仕上法は型寸法と呼ばれ、ハンマー法とエンボス法があります。ハンマー法は普通のハンマーで叩いて処理をするのです。
- モンちゃん
- 普通のハンマーでできるんですか。じゃあ私にもできるかな。
- アンサー氏
- 何を言っているんですか。単純な作業ほど技術が必要なんですよ。それからエンボス法は、圧延ロールの表面にいろいろな型模様を付けて圧延し、表面に凸凹などを付けることができる方法です。非常に装飾的で建材や装飾材のデュエルビッツ ボーナスとして使われています。
マグネの処理は、防錆がキメテ
- モンちゃん
- 鋳造品・鍛造品というと、アルミだけじゃなくて、マグネ製品も頭にうかぶのですが。マグネの鋳造品・鍛造品のデュエルビッツ ボーナスはどのように行うのですか?
- アンサー氏
- マグネ製品のデュエルビッツ ボーナスは錆やすいのです。そのために錆を発生させないための防錆処理が大切になってきます。マグネの防錆処理のうち、最もポビュラーなのが、DOW1とDOW7と呼ばれる処理方法です。
- モンちゃん
- DOWというのは、変わった名前ですね。
- アンサー氏
- ダウケミカル社という会社が開発した処理方法なので、DOW(ダウ)と呼ばれているのですよ。DOW1で使う薬品の中には、化学的な反応が強い硝酸が入っています。デュエルビッツ ボーナスため20℃~50℃という常温に近い状態で、30秒から2分程度の処理ですんでしまいます。すばやく処理できるし、経済性も良いのですが、寸法変化が大きいという難点もあるのです。一方DOW7は、硝酸などのように刺激の強い薬品を使わないため、寸法変化は少なくてすみます。機械加工品などの精度を求められるものには、丁度いいのですが、処理時間が30分ほどかかり、デュエルビッツ ボーナス分コストも高くなってしまうので大量生産品には不向きといえますね。
- モンちゃん
- マグネ製品は混ぜ合わせる金属の成分などによって、カメレオンのように色を変化させると聞いたのですが?どんな色になるんですか?
- アンサー氏
- 例えばDOW1の場合はでは、灰色、黄金色、黄赤色。DOW7の場合ではトビ色、黒褐色などになります。デュエルビッツ ボーナス他の処理方法でも小豆色、黒色、銀白色、黄緑色など本当にカメレオンの様にさまざまな色に変化するのです。
- モンちゃん
- そんなに色々に変わるんじゃ、同じ製品でも造る場所や時間などによって違う色になっちゃったなんていうこともあるんじゃないですか?
- アンサー氏
- そうなんです。マグネ製品は製造者泣かせ。製品の製造履歴や薬品の混ぜ具合がちょっと変わったりしても発色が変わってしまうんですよ。温度や湿度などにも影響を受けるし、それだけにマグネのデュエルビッツ ボーナスには徹底的に標準化された品質管理と同時に、熟達した技が必要なんです。同じ製品の発色が違ってしまうことは許されませんからね。
- モンちゃん
- デュエルビッツ ボーナスには本当にさまざまな技術が活かされるいるんですね。それにその技術の進歩も早いスピードで進んでいる感じです。
- アンサー氏
- 製品をよりグレードアップさせるためのわき役だったデュエルビッツ ボーナスの技術が、付加価値として大きな役割を果たすようになってきたといえるでしょうね。単に表面を整えるだけではなく、機能性を高めることのできる処理方法は、今後も広く求められていくでしょう。