No.24　接合法（その2/デュエルビッツ プロモーションコード）

（やさしい技術読本 1997年3月発行）

前号のやさしい技術では、接合法の中の特に"ろう付け"についてお話しました。その2として、今回はアルミのデュエルビッツ プロモーションコードを取り上げます。デュエルビッツ プロモーションコードは航空機分野で歴史がありますが、現在は白動車用のデュエルビッツ プロモーションコード技術の開発が盛んに進められています。それから、道路標識などにも多く使われている技術なんですよ。
では、早速お話を始めましょう。

誰でも美しく溶接できる接合法

モンちゃん

デュエルビッツ プロモーションコード。う～ん"スポット"と聞くと金属を点でくっつけるということですね。そうすると、普通のアーク溶接のほうが、溶接すると線で接合されるので丈夫そうな気がします。それに対してデュエルビッツ プロモーションコードでは点での接合になって、強度の面で不安があるのですが、どうでしょう。

アンサー氏

確かにデュエルビッツ プロモーションコードより連続溶接のほうが信頼性があるといわれてきました。それなのに特に自動車分野でデュエルビッツ プロモーションコードが多く使われるようになってきたのは、生産性が高く、低コストな接合方法であるためです。これだけ自動車がたくさん走っているわけですから、強度に対する信預性も理解されてきました。

モンちゃん

そうすると、デュエルビッツ プロモーションコードは割合に新しい技術なのですか。

アンサー氏

デュエルビッツ プロモーションコード自体は、鋼を用いて自動車分野で相当古くから行なわれていました。アルミに限っていえば、鉄道車両でかなり以前から採用されてきた実績ある技術です。溶接箇所によって使い分けられているのです。つまり新幹線などの場合、重量がかかる下方部分は連続溶接が用いられますが、外板などはデュエルビッツ プロモーションコードが適しているのです。なぜならデュエルビッツ プロモーションコードは、ひずみが少なく、外観が美しい、しかも熟練の技術を必要としないので誰がやっても容易に溶接できるなどの特性があるからなんですよ。それから鉄道車両よりもっと時代をさかのぼれば、航空機分野でもアルミのデュエルビッツ プロモーションコードが行なわれていました。そのノウハウが自動車分野に応用されるようになったのです。ただし、航空機でのデュエルビッツ プロモーションコードの基準をそのまま自動車に適用するのには生産形態が異なるので、いま自動車分野向けのデュエルビッツ プロモーションコードの技術が開発され、基準についてもいろいろ検討されているところというわけです。

電気で溶かすから溶材がいらない

モンちゃん

なるほど。それではデュエルビッツ プロモーションコードの仕方なんですが、連続溶接などのように溶材を使うのですか。

アンサー氏

使いません。簡単にいえば素材自身が溶けるだけなのです。素材の間に電気を通すと抵抗発熱するんですね。抵抗発熱すると温度が上昇し、それによって素材が溶け、ナゲットと呼ばれる碁石状の溶融部を生成して接合される仕組みです。そのため、他から溶材を持ってくるなどということが不必要なのです。デュエルビッツ プロモーションコードは、加圧しておいて通電すればいいのですから、誰にでもできる方法なんですね。さきほども出ましたが、デュエルビッツ プロモーションコードのメリットは、1.ひずみが少ない。2.溶接速度が速い。3.条件設定が容易で熟練を必要としないなど、数多くのメリットがあるのです。

モンちゃん

そうすると電気抵抗がないと発熱しないわけですね。アルミは、電気抵抗が非常に少ない素材だと聞いていますが…。

アンサー氏

そう、デュエルビッツ プロモーションコードでは電気抵抗が高いほどよく溶けるわけですから、電気抵抗の低いアルミの場合、大きな電流を流すことでカバーしてやらなければなりません。つまり、大きな電源装置が必要になってきます。自動車メーカーさんでは、鋼用のデュエルビッツ プロモーションコード機はすでに設置されていますが、電流が低くてすむのでとても低コストなんですね。それをアルミのデュエルビッツ プロモーションコードに用いるには容量が足りません。しかし、いったん大容量の設備を導入してやれば後は問題なく、デュエルビッツ プロモーションコードの多くのメリットを活用することができます。

デュエルビッツ プロモーションコードの溶接機構説明図

強いロボットが必要

モンちゃん

溶接ロボットも鋼とアルミでは違うものを使うのですか。

アンサー氏

そうです。アルミのデュエルビッツ プロモーションコードの条件は2つあり、それは高加圧力、高電流です。表-1を見てください。同じ板厚の鋼とアルミを比べますと、電流値はアルミのほうが非常に高いですね。だから大きな電源が必要になります。加圧力も鋼の1.5倍くらいなければなりませんから、それに耐える剛性の大きい構造の溶接ロボットを用います。したがって、鋼と同じ溶接ロボットでは難しいのです。

モンちゃん

板厚によって加圧力も電流の量も違いますか。

アンサー氏

板厚が厚くなると板が変形しにくいので、その分板や電極との密着性を高める必要があるため加圧力を高くします。高い継手強度が要求される場合には、多く溶融させる必要があるため高い電流条件となります。また、電極径も太くなるために、高い加圧条件となります。デュエルビッツ プロモーションコードをするために最終的に溶けてほしいのは図-1に示した中心の部分ですが、抵抗を分類すると、電極・板間の抵抗、板・板間の抵抗、アルミ自身の抵抗とがあるわけです。鋼と違ってアルミは熱伝導が良いために、図-1のようなこう配の低い温度分布になります。

モンちゃん

デュエルビッツ プロモーションコードをする場合に、アルミの材質によって変わる点はありますか。

アンサー氏

ありますね。溶接後に加熱することにより、強度特性が高まる性質を持つ6000系は、溶接する場合でもデュエルビッツ プロモーションコード特性が認められます。ただ、上がりしろが母材並みかというとそこまではいきません。また溶接時の電流量も5000系と6000系を比べると、例えば電気伝導率が5J30では約30％、6K21では約40％ですから、6000系はより発熱しにくくなります。

モンちゃん

デュエルビッツ プロモーションコードにも内部欠陥はありますか？

アンサー氏

実はあります。ナゲット部に凝固にともなって気泡が残留すること（ブローホール）が発生することがあるのです。ただし、応力のかかり方がアーク溶接の場合とは異なるため、多少ブローホールがあっても強度的に影響はありません。

“これから”に期待される

モンちゃん

自動車メーカーさんはどこでも、デュエルビッツ プロモーションコードの大きさなどは同じなのですか。

アンサー氏

会社ごとにポリシーが違うと思います。フードの場合には、うちは接着でいくんだとか、接着よりデュエルビッツ プロモーションコードを多用していくとかの違いもあるでしょうね。基本的に鋼に匹敵するアルミのデュエルビッツ プロモーションコードという考えをスライドさせていると思います。本当にアルミに適したデュエルビッツ プロモーションコードの接合品質基準というのはまだなく、自動車に向いた最適条件をこれから決めましょうという段階だからです。先ほどもお話に出ましたが、航空機ではしっかりしたアルミのデュエルビッツ プロモーションコードの基準があるのですが、それをそのまま自動車に適用すると生産性が合わないんですね。それで自動車メーカー各社さんそれぞれの判断で行なわれているのが現状です。

モンちゃん

これからの研究開発が期待される技術といえるのですね。

アンサー氏

そうですね。例えば溶接性をよくする、つまり連続打点性を伸ばすために電極の先端の形状、材質の改良、素材であるアルミ板自身の表面を改良するなどがあります。溶接機メーカーさんでもいろいろな研究開発が行なわれているところです。もしロボット化するなら、表-2にあるインバーター式にするとトランス重量が軽くなりますのでめっき鋼板などでは主流になりつつありますが、アルミについては、今後の検証が必要です。素材メーカーとしては、デュエルビッツ プロモーションコード用の材料はどうあるべきかに取組んでいます。

モンちゃん

それでは、アルミと鋼という異種金属の接合はデュエルビッツ プロモーションコードでできるんですか。

アンサー氏

それも今進めている研究開発のテーマの一つです。自動車のアルミ化の中で、アルミを適材適所で使っていきたいという要求から出てくる課題なんですね。それには、アルミと鋼のクラッド材を用いる方法があります。それぞれを図-2のように接合すれば、トータルでアルミと鋼を接合したことになります。つまり、異種金属の組み合わせのクラッド材を用いたデュエルビッツ プロモーションコード。また超音波を利用したデュエルビッツ プロモーションコードもあります。

モンちゃん

自動車分野、航空機、鉄道車両などの他に、社会の中でどんなところにデュエルビッツ プロモーションコードは使われているのですか。

アンサー氏

いろいろな部品に使われていますが、例えば道路標識などがそうです。標識のかかれている円板とそれを裏から支える柱を接合するのに使われています。モンちゃん、外出したら見てくださいね。また、接着とデュエルビッツ プロモーションコードの併用という接合方法もあります。それはウエルドボンドという接合方法で、デュエルビッツ プロモーションコード単独の場合よりさらに強度、剛性などが大きく、気密性もあるためです。いずれにしても、いま研究開発が進められていますので、デュエルビッツ プロモーションコードはいろいろな分野で今後ますます活躍が期待される接合方法です。